塩塚秀夫氏が研究室に訪ねて来られた。彼は日本体育大学卒業、熊本県立高等学校保健体育科教諭を38年間勤めて、本学に赴任した人である。彼は東京箱根間往復大学駅伝競走などで受賞した経歴者、本学では女子陸上部(駅伝部)の監督である。彼は東亜大学には留学生が多く、関心を持っているという。私が延々と経緯や現状を説明しようとすると黒人の留学生が欲しいという。黒人とは差別、皮膚の色ではない。アフリカの足が長く、ほっそりした学生が入ってきて欲しいという。マラソン選手として育てていきたいという教育者、やはり監督である。
私の応対の話は長く、面白くなった。個人が体力を磨き、練習して競走に出るのは人間の生き方そのものではないか。走りは練習時間が長い、それに比べて表面に出る、優勝するのは稀、それにかける人生はどういうことかその秘密に迫ってみたい。日本植民地時代に韓国人孫氏が日本のマラソン選手としてベルリン・オリンピックで優勝した話、柳美里の小説の話にまで盛り上がった。マラソンは全的に個人の体力で走ることが基本、それが「競走」になると注目される。私は小学校の時、競走に出た時の、スタートラインでの緊張感は今でも忘れられない。私も人生を走ってきた一人である。
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競走
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