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Channel: 崔吉城との対話
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「恨み」

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  NHKが先日、東亜大学で行われた中村哲氏の講演映像録画資料を求めて来たという。報道用のリリースを送ってもメディアの無感覚さに違和感を感じる。ある新聞記者から聞いた話だが、政治的な話は扱わない。左派、右派、右翼などを避けるためであろう。メディアが政治を話題にしないというのはメディアその存在理由がない。
 中国からの留学生からの研究テーマに関する相談では、政治的な話は駄目、植民地と戦争の話題は駄目、浮世絵なども駄目…。吉田松陰はどうか、もっとだめだという。「男はつらい」を論文で扱ったと言うので映画はどうか。監督論、戯曲論、作家論などについてはどうだろうか言ったら難しそうな表情、沈黙で終わった。
 読書会では私が中村哲氏の死を話題に。治安の悪い国で支援奉仕中に銃撃されたことが「悲惨な死」であるか、「悲劇的な死」であろうか、話題にした。偉大な事業、悲劇的な死、そこから「恨み」の発生、「祟り信仰」により神格化されるという、私の「恨」の研究から説明した。恨みと祟りのメカニズムは人間関係への変化の力にもなる。日韓関係の恨み「悪化」と祟りの改善のパワーにもなりうる。日韓協議で軽く妥協するよりは恨み合いながらも、もっと祟り、お互いを知り、理解し合う時間が必要かも知れない。
 


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