Quantcast
Channel: 崔吉城との対話
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2349

メディア嫌い

$
0
0

 今日は陰暦の新年、「中国のお正月」といわれる日である。日本に住んでからこの「旧正」を意識することや祝うこともなかった。しかし隣市に住んでいる教え子が毎年この日に高級な精肉と栗饅頭を送ってくれるし、中国や韓国から留学生が多くいて多少その雰囲気に包まれている。韓国のテレビはこの名節の雰囲気を長く報じている。昨夜のプライムニュースでは産経新聞の黒田勝弘氏が韓国のメディアが、否、韓国人の気質が問題であるというコメントをした。朴クネ氏のメディアと政治家への素朴でジェントルな話も資料映像として流れた。その影響があってまた大きい朴クネをカーバーするデモがあったとも報じられ、韓国国民も多少冷静になっていく時期ではないかと予測した。
 トランプ大統領がメディアを嫌うことが理解できる。インタビューなどを編集、操作するというメディア不信である。生の声を編集、操作、ねつ造などとなったりすることがあると知っているからである。言論の自由という壁を作って民主化運動に便乗して君臨する。寓衆が知るはずがないので暴君になっている。生の声、文脈、レトリック、雰囲気などを充実に報道するようになればと期待している。先日2社のある新聞コラムに依頼されて送った文が断られた。その文を読書会で読んでもらって名文だ(?)と評価された(以下参照)。また慰安婦に関しての朴裕河氏の講演会にも一社も取材に来なかった。私はツイッター、フェイスブック、ブログに毎日投稿している。トランプと朴クネの両大統領もそのようになっていることが十分わかる。

 <烈女門と少女像>
 日本の太平洋戦争は植民地諸国を超えて東南アジアなどを含み広大に占領していった。太平洋戦争の最終期に韓国は戦場ではない後方(銃後)地として徴用、徴兵などで動員され、ものが収奪されたことは明らかである。戦後処理問題が残っており、現在まで日韓関係を難しくしている。その一つがいわば慰安婦問題である。それがなぜ植民地あるいは戦争の被害の象徴的なものになったのであろうか。それは植民者は絶対悪、被植民者は絶対善という二項対立的になっており、「和解のために」書いた著者さえ政治裁判的に裁かれている。
 多くの韓国人は少女像(慰安婦像)を見ながら女性の貞操を奪った日本民族は許せないと。呉公太民団団長は釜山総領事館前に設置された慰安婦少女像は撤去すべきだといったと報じられ、私は初めて民団から聞く新鮮なことばだと思っている。読者は唐突な話に聞こえるかもしれないが、私は少女像を見ながら朝鮮王朝時代の烈女門を想像する。それは私の想像に過ぎないことではなく、歴史的史実である。豊臣秀吉朝鮮出兵の壬辰倭亂の時に日本の将兵たちが朝鮮の女性の貞操を汚したことへの憤怒と怨念で烈女門(夫以外にセックスのない)が多く立てられた。それは蒙古の侵略に処女供出に憤慨した事と同様である。儒教によって女性の貞操は強調された反面男性についてはほぼ放任された。女性だけに強いられた貞操観である。韓国では最近まで姦通罪、貞操に関する刑法が成立していたのがそれである。
 少女、烈女、慰安婦は何を意味するのか。少女と烈女は貞操を意味する。私は烈女門の変身が少女像だと感じている。慰安婦は貞操が犯された汚れた女性を指す。それを日韓に相応してみると日本は悪の植民、韓国は善なる被植民の二項対立的、つまり悪の日本人が善なる韓国の女性の貞操を奪ったということになる。それは反日以前の原初的な韓国社会の特質といえる。
 朝鮮戦争の時国連軍による性暴行があった。平和軍であり、民主主義を守ってくれる天使のような軍人が、みんなが手を振って迎えたのに村の女性に性暴行することがあった。兵士の婦女への性暴行により、結局村に売春婦たちが入ることになり、性暴行はなくなった。儒教的な倫理観が強い村が戦争という不可抗力、性暴力の恐怖によって、住民たちは売春婦を認めざるを得なかった(拙稿『韓国の米軍慰安婦はなぜ生まれたのか』)。朴正熙大統領時代には妓生観光があったが日韓関係で大きく問題化することはなかった。
 反日感情にこのような慰安婦問題を載せると国民統合や外交の効果が倍増する。政治家は世論を引き上げるのに貞操感を持ち出す。元慰安婦の人権を著しく傷つけたことへの誠実な謝罪が必要だと主張する人権主義者たちやフェミニストたちとも連携しやすくなる。韓国政府は常にセックスや性倫理を政治に利用してきており今も日韓において不和の火種になっている。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2349

Trending Articles