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Channel: 崔吉城との対話
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束縛は刑務所の中にしかない?

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 ナースセンターからローカを挟んで両側に個室や相部屋の病室が並んでおり、私の病室は右の2番目の個室である。ここがこの病院の循環系病棟である。私はそのローカを歩行練習をする。病室から時には呻り声が聞こえ、顔を出して私を覗いてみる人もいる。映画などで見る刑務所の監房を連想する。ソルジェニーツィンが皮肉にも病棟を刑務所と比較したノーベル文学賞作品『がん病棟Cancer Ward』を思い出した。彼によると囚人と患者にはそれなりに療法を断る権利がある。痛みや苦痛を我慢するのも共通点であろう。私は以前シベリア流刑について調査に行ったことがある。農業移民的な要素もあったことを知らなければこの小説を理解することはできない。ソルジェニーツィンは囚人とは患者のゆがめられた鏡像としてソ連社会から個人が受けている影響を明らかにした。
 もちろん今の超現代的な医療施設の日本の病棟をソ連時代のものと比較しようとするわけではない。ただ教導(刑務)所や病院も治療をする機構として社会的機能をしていることを理解すべきであろう。ただ病室と監房の差は自由と束縛への意識の差に過ぎない。この社会には人々は皆自由意識を持っているかというと必ずしもそうと言えない。労働時間に、お金に、人間関係に束縛されている人が多過ぎである。束縛は刑務所の中にしかないというというのは大変な錯覚であろう。

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