地方に行くと地域出身の人物を顕彰する傾向があると強く感ずる。下関のメディアは年中高杉晋作の名を叫んでいるように感ずる。一般的に博物館や記念館も顕彰が多いが、常設展示だけで一生に一回訪問したら終わり式、市民との持続的な親密な関係は粗末である。観覧から資料の活用まで出来るように展示方式も変えなければならない。一昨日北九州の松本清張記念館と文学館の展示を鑑賞した。去年火野葦平氏の自宅「河伯洞」の観覧との関連で戦争文学に関する資料調査のような観覧であった。この地域から文学者が多く出て芥川賞などを受賞し、全国的に評価されたことに感動した。松本清張は今私が住んでいる壇ノ浦とも関連があるというので心の接点があった。文学少年の火野の16歳の日記の原本が展示されている。肯定的に戦争に参戦し、記録を多く残し、小説を書いて、戦後に戦争賛同者とされ、バッシングや罰を受けた。私の朝鮮戦争体験はより幼いころのもの、多くの人が持つものに過ぎない。去年戦争の記憶の一冊『米軍慰安婦の真実』(ハート出版)を世に出した。その体験や記憶が私の生き方にどのように影響したか考え、それを書き残したい。
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