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Channel: 崔吉城との対話
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保護か破壊か

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2年生の観光人類学の授業で世界文化遺産として登録となった軍艦島のBS朝日録画映像を見せながら紹介した。私は文化遺産云々と言われる前の2009年に船で島を回りながら観察して驚いた感動が蘇ってきた。周囲1.2キロの島に5300人、9階建ての建築、神社や学校などがあった珍しい島と思い見せた。韓国の留学生たちからの感想にはビックリした。日本では近代建築の技術を誇示するというのであるからである。韓国では韓国人強制労働島として放映された内容であると。両国とも客観的というので「客観」とは何か、より根本的な問題に逢着した。ワールドカップ予備戦でファン選手は「慰安婦のニュースを聞いた。日本との歴史的な問題もあるので決勝戦には必勝しなければならない“위안부 할머니들과 관련된 소식을 들었다. 일본과는 역사적인 문제도 있기 때문에 결승전은 필승해야 한다”」と言った。反日精神が選手の力になることはあり得る。
 客観的な事実と客観的な脈絡に分けて考えなければならない。つまり近代建築、強制労働という事実は客観的なものであるが、より大きい、より広い視野、歴史的脈絡から照明を当てる必要がある。歴史認識とはまた「事実」を歪めることもある。私は最新著として世界的に旧植民地を多く調査し「植民地歴史を正しく見る」を準備している。朝鮮総督府庁舎を破壊した韓国、南京虐殺記念館など反日文化圏を紹介する。そしてシンガポールでは大英帝国のホテルなど建築物を観光化していること。台湾では植民地遺産の臺灣神社の存在、国立博物館では植民地統治者であった後藤新平像を展示していること、パラオでは日本文化が生かされている。南アフリカでは植民地政策が継承されながら発展していることなど植民地遺産は多様な現象として扱われている。保護か破壊か、深く考えてみたい。

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