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Channel: 崔吉城との対話
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腹話術

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いっこく堂さんの腹話術は実に上手い。昨日テレビでいっこく堂さんが「世界各地のステージに立ってきましたが、韓国だけはまだなので、是非近い将来、韓国でブームを巻き起こしたいですね。そのために、韓国語を勉強中です」と言った。実は私は子供の時から見たものである。流れ歩く腹話術占いシャーマンが我が家に来て占うのを見た。盗難の犯人捜しの占いであった。シャーマンは子供の死霊を神降ろしをして子供の声で語る。子供の死霊は探しに行って帰る途中で遊んだりしてうまく捜せないこともある。それはシャーマンの責任ではない。私は後にそのようなタイプのシャーマンを全国的に見ることができた。中国の朝鮮族のシャーマンにもいた。1930年代の『朝鮮の巫覡』にはシャーマンの口寄せが天井から聞こえることを検証して腹話であることを長く説明している。私は早くから論文に紹介したが巫歌ばかりに関心が強い研究者たちはこの類型のシャーマンは本物ではないように関心を持たずに現在に至っている。
 いっこく堂さんも腹話術は巫女から起源した話をしていた。彼が村山智順や私の拙著を読んで幼児霊の口寄せなど多くの内容を資料としてほしい。日本では故桜井徳太郎氏が触れたことがある。韓国ではこのようなシャーマンを太主ムーダンと言う。腹話術に関心のある方は拙著を参考にすることを勧める。シャーマンたちは幼児の死霊を「米櫃神」と言う。李王朝の王子を米櫃に入れて殺した怨恨の霊であると伝えられている。母に殺されて母に憑いて母がシャーマンになるなどいろいろ言われている。テレビが映したがるシャーマンのカラフルな踊りの底には怨恨が多く沈んでいることにも目を向けてほしい。



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