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Channel: 崔吉城との対話
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短歌

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数日前古川薫氏が奥様からの頼みであるといいながら「やまぐち短歌大会作品集」を渡してくれた。その奥様は歌人の森重香代子氏である。お宅をお訪ねした時お茶をご馳走になったことはあっても話したことがない。私は文学少年時代には詩を書き、大学では有名な女性詩人の金南祚氏の講義を聞いた。同級生から二人の詩人が出て文壇に登壇したが私は失敗。それは私は感情の表現があまり出ていないということが分かった。詩は諦め、小説を勉強したが、それは語彙が少ないと言われたことがあり、評論家を目指したのである。以前拙著『アジアを歩く』を読んだ読者から、著者として感じたことの表現がないと厳しく言われたことがある。感情を入れることにより、偏見が入りやすくなるのではないかと自分なりに控えた結果である。しかし以降ブログなどにも感情を入れるようになった。
 今日東京へ出かけるのに寒い。これを日本では「花冷え」という季語がある。古くは王昭君の詩「春來不似春」(봄이 왔건만, 봄 같지 않다)と歌われたが多くの人が感じている季語である。日本には「花冷え」の季語の俳句、川柳、短歌が多い。花=桜を連想するものが多い。また花冷えと酒の話題が多い。私は酒とは縁が薄く酒に対する感情はない。なかなか花冷えの感を歌った名作が見当たらない。朴ワンソ作家は「花冷えのような孤独を感じた」(나는 꽃샘추위와 같은 외로움을 느꼈다)と書いた。花冷えと孤独はどうつながるのか。一般的に韓国人は花冷えをコッセンチュイ(花が咲くのを嫉妬する寒さ)という。本当に感情を表すすばらしい表現といえる。民間歌人の名作といえる。

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