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Channel: 崔吉城との対話
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国策映画と記録映像

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 早朝4時過ぎフェイスブックに下川正晴氏の投稿があり、数回更新。彼は会場にいた。聴講数は約70余人、真摯な会議は続いた。亘氏の異文化への理解というイントロ、そして牛島氏の解説と「海の生命線」の上映、それを編集した教育映画「南洋諸島」が佐藤氏の解説で上映された。昼食は堀まどか氏らと急いで済ませて私の出番。簡単な解説から始まった。日本帝国の最高潮の時の「強盛大国」(今北朝鮮が叫んでいる標語)の勢いをどう鑑賞すべきか。海軍政策でありながら空軍の必要性を訴える様子を見てほしいと説明した。人でも国家でも最高潮の時からの堕落あり。敗戦の日本も見るよう叫びたい気持ちを抑えながら説明した。日本帝国から日本国となった戦後の日本の最高潮、今、日本は危機意識を持つべきだというメッセージも含んでいた。今度の映像の中で一番長い「北進日本」を上映した。家内と急いで苦労して作成したナレーションを文章化した新しいバージョンを配り、皆さんに修正するようにお願いした。
 シンポジウムは発表者と私の7人が登壇して私が司会を勤めた。紹介や挨拶など抜きに本題に迫っていった。二つのキーワードを出した。国策と記録映像に関するものである。火山の爆発や煙突の煙を元気付けと近代化の象徴のように説明している映像を見た。今や脅威と汚染の象徴とされる。その説明と関係なく映像は映像であることを話題の種とした。6人のパネラーを二分して沖縄、台湾、サハリンの発表者に国策への意味を問い始めてよく話が展開されていた。沖縄の植民地論については私から追求した。北海道やサハリンなど少数民族が独立したら国家は成り立たないかもしれない。どこまでが日本かという根本に迫った。映画を学校教育に使ったという映画は挿入写真の比較にしかなっていない感があった。国策映画を誰に見せるかという問題も出た。その追跡研究が必要であることも私は指摘した。次には国策映画の中の記録映像の分析に迫っていった。サイレント映像、通訳もない映像が一番客観的かと問いかけた。パラオの女性の上半身裸のシーンは「土人」への差別かという問題。それは生活習慣そのままの記録映画であると評された。アフリカ=動物王国のイメージを作るテレビの映像でも記録自体はいいことになる。何を選ぶかがドキュメンタリーの要であることも話題になった。寒さの中、花見をしながらホテルへ向かった。*写真は下川氏撮影
 
 

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