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Channel: 崔吉城との対話
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シェアハウス

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 一年中、私の部屋には花がある。たった一輪の花に喜びをもつ。花屋に寄れば、一段と大きく華やだが、私が育てている花は、見栄えのしない商品価値もあまりない。それでも私が育てた花は、情がわいてきれいだ。自分の手と関心が向くからだろう。人間の経験もそうだ。幼い頃に経験した小さなこと、うれしくて悲しいことが一生大切にされる。多分誰でもそれなりに貴重な思い出がある。
 韓国のお年寄りは実名以外に<号>をつける人が多い。私はあだ名でスズメと宣言、『スズメが語る学問と人生』という随筆集も出して久しい。このところ、スズメたちがいつも訪ねてくる。家禽ではない 群れをなして行き来する。家族単位ではない。ベランダで若芽やえさをついばむだけで、安息所は別にある。近くの森に帰っていく。寝床はしっかり守るものだ。それなりに生活の枠組みがある。  
 妻と熱心に見る韓国ドラマ、一人暮らしの人々が家族でもなく、一緒に空間を共にするシェアハウスだ。最初は作品がよくないと不満を漏らしながら見ていたが、だんだん問題作に感じられてきた。他人と空間を共有し、愛と別れが続く。独り暮らしの人々、独身生活に対する新しい生き方を示すメッセージとして観ることができる。

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