今学期の文化人類学講義では性、結婚、家族がテーマである。まず前回の講義の学生たちのコメントを以て始まる。アンケート調査によれば日本人の男性の回答と女性の回答で著しく異なっている。男性は一貫して同じ男に生まれてきたいとする者が9割程度を占めているのに対して、女性は、かつては男に生まれたいとする者が6割以上の多数派であったのがこの約50年の間に女に生まれたいとする者が7割以上の多数派を占めるように変化したという。生まれ変わっても女、男という話に中国からの女子留学生は二男二女の4人の兄弟姉妹の末娘だと自己紹介をしてから「私が生まれた時父親は怒った」と説明した(笑)。
父系社会の特徴を説明するために私は1976年「朝鮮学報」に発表した「捨姫公主神話分析」を以て説明を加えた。王様の子は全部娘、息子を願っていたので7番目に産まれた娘は生まれた時捨てられる、その娘をバリ(捨てられる)という。長い神話のストリーを紹介した。末娘の逆語の「長男」中心社会への理解を願っていた。しかし父系社会でありながら親孝行の「孝心」をもっているのは娘であるという神話の趣旨の理解も求めた。静かな私の社会思想運動といえる。慰安婦について本を書いた日本人の著者に講演を頼むつもりで電話をしたら私の姿勢とは異なって「自分は慰安婦を以て日本政府と闘う社会運動者だ」ということで断られた。私こそ社会運動者だと思っていたが彼女には負けてしまった(笑)。