東洋経済日報寄稿文(2017.1.20)
日本の新年が韓国や中国では年末の雰囲気になっており、今「旧正」(陰暦の正月)に向おうとしている。東アジアは古くは漢字文化圏とか儒教文化圏の共通する地域であったが、今は暦の西欧化は統一されていない。日本は1873年、韓国は1896年から太陽暦を採用してカレンダーとして使ってはいるが、最も重要な年の始まりの象徴的な祝日「お正月」をはじめ8月15の秋夕など名節を陰暦で祝う。私の世代では新旧の「二重過歳」が一般的であったが80年代に旧正へ、中国文化圏へ戻った。日本と北朝鮮は元首の誕生日により元号を使っている。カレンダーを持ってワンアジア作りは難しい。
私が担当する講座の講師である広島大学名誉教授の金田晉先生から日本が中国文化圏へ、陰暦の正月を祝うのはいかがかという提案があった。国づくり、地域づくりの営みとして、住む人の生き方として見直すべきであり、日本でも「旧暦」ブームがあると語った。それについて韓国の留学生の金君がお正月ぐらいは新正に祝うことができれば東アジア共同体への一歩になるのではないかとコメントをした。年中行事になると国によって多様である。日本の被害日である原爆記念日、韓国の3.1独立運動記念日など対立相反するものもある。
ワンアジア財団の佐藤洋治理事長はすでに「アジア共同体」講義の創設を世界的に支援している。広い地域、多様な民族、国家、組織が存在し、民族、国籍の壁を作る要因を持っているが国境を超えアジア共同体が可能であろうか。近代国家が誕生してからは国家間競争意識が高まって植民地、戦争などにより不和緊張が続いている。東アジアでは共同体は無理だろうと主張する人も多い。戦前の日本中心に叫んだ「大東亜共栄圏」があったからである。境界を超えるボーダーレス越境観念から考えると「東アジア」において、歴史認識問題が横たわっている。
悲観的であるだけではない。若い世代によって文化は共有していく。映画、音楽、マンガ・アニメなど流れて行き、新しい現代大衆文化を形成している。その文化の核心部の知識を牽引するのは大学である。アメリカの力の中核がやはり大学の機能である。その中で私は政治家たちだけではなく、学者による歴史をテーマにして、インターネットを通して韓国、中国・台湾の姉妹大学を結ぶ遠隔授業の構想として「東アジア共同学術交流ネットワーク作り」を挑戦している。
東アジアは稲作文化を共有している。その中には餅文化がある。正月には日本では鏡餅、韓国では白餅、中国では月餅を作る。年末年始には餅つきの風景をそれぞれ持っている。暦、祝日、餅は東アジア文化を表す。旧正に韓国は餅の雑煮を食べる。それを何杯食べたかの質問には自分の年で返事を返す。年を取り、オルン(大人)になり、尊敬されるオルシネ(大人様)になる。喧嘩は子供がするもの、大人には礼節があり、寛容がある。人間関係も和解する。日韓関係も和解すべきである。
↧