軍国主義が個人の心性を破壊すると夏目漱石について小森陽一氏はワンアジアコンベンションで基調講演をした。それは「漱石と憲法九条」であった。軍国主義に対峙してきた漱石と平和憲法には相通じるものがあるという。今、憲法改正の話が話題になり、選挙演説のようにも聞こえるが、政治問題は扱わないというワンアジア財団の趣旨とはどうなるかと内心気にしながら聞いていた。私も反日や慰安婦問題などに時々触れるが政治性と研究者との距離、態度をどう考えるべきか、軍国主義と言論の自由との研究など難題に逢着してしまった。憲法改正に反対する「九条の会」の事務局長に就いた話が繰り返された。文学の研究者、啓蒙運動家、社会運動家を思わせる。講演の直後佐藤洋治理事長は「研究内容は面白いが政治的な発言はワンアジア財団での基調講演として相応しくない」とコメントを出した。参反はまだ残っているはずである。セクション1で終始傾聴していた。研究会と講演会の混成、中間的な話であった。やはり人の集まりの多い時間は高級料理の晩さん会であった。多くの人に会って、たくさん話した。