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Channel: 崔吉城との対話
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山路勝彦 「慰安婦の真実」を読み終えて

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崔吉城 先生

「慰安婦の真実」を読み終えて、あらためて呉善花「スカートの風」を読みなおしました。「帳場人」の日記という、第一級の資料を解読する作業は、読者から見ても、わくわくするものです。慰安婦と「強制連行」を結びつける論調は、確かに根拠がなく、「慰安所が民間人たちによって営業的に経営され」、「売春によって、巨額のお金が動いていた」(p.178)という指摘は、納得しました。儒教倫理から遠く隔たった人たちの姿が浮かんできます。自分としても、昭和15,16,17年頃に急激に台湾人の経営、台湾人の女給が増加したのに関心を持っているので、参考になります。芸妓やキーセン、遊郭文化は昔からあったとはいえ、おそらくこの時代、日本、韓国、台湾は同じように、西洋文化(と日本文化、あるいは大阪文化)の影響を受け、伝統的価値観が揺らぎ出し、この過程で慰安婦が軍隊を後ろ盾にして活動していったのか、と推測しています。モダンガールも慰安婦も、結局はコインの裏表の関係なのかもしれません。東アジア全体を視野に入れないと、全体像がつかめないと想いつつ、この1930年代という時代をもう少し整理する必要がありますが、自分にとっては、まだ文章化するには多くの時間と労力が必要です。老齢化が進み、まとめ切らず、つらいところです。

*この内容は「東亜大学での90分授業<東アジアのカフェー文化>を短文に圧縮しながら、本書を論評した」公開してよろしい。

山路勝彦

山路勝弘先生、コメント有難うございます。東アジア全体枠から共同研究をしたいです。お陰様で昨日重版になりました。崔吉城


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