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Channel: 崔吉城との対話
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古川薫『維新の商人』  呂秀一「満洲国建国」

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 今古川薫氏著『維新の商人』を読んでいる。下関で活躍した白石正一郎の日記を小説化したものである。私は拙著『朝鮮出身の帳場人が見た慰安婦の真実』を上梓したが、それは慰安所で事務を担当した人の日記の分析である。上掲二書の日記の扱いがどう異なるか。半疑しながら「商人」の日記と「帳場人」の二人の商人の日記を比較するようになる。日記を以て人物像をどう描くべきであろうか。商人当本人についての記もある。白石正一郎という者は,全体温和の質、和学を好み、清直、談話が面白く、風儀雅品といわれる。小説のパーソナリティー設定を決めつけそうである。なにより人物像は創造であろう。それに比して私はありのままでの分析である。面白くも悪くも書けない学問的な姿勢がある。

 明日12月3日のワンアジア講座では中国から来られる大連大学の呂秀一教授が旧満洲国における民族の存在を国籍から問うていく。日本最初の国籍法は1899年台湾に適用され、台湾人は日本国籍法の規制を受ける日本臣民になる。1910年8月の日韓併合条約により「一切ノ統治権ヲ完全且永久ニ日本国皇帝陛下ニ譲与」となった。そして全然内地人ト同一ノ地位ヲ有ス。間島在住者ニ付テハ、日本臣民ト見做ス。国外に居住している朝鮮人も「日本臣民」になった。国境地方ニ帰化不良鮮人カ集団ヲ為スカ如キ事態ヲ惹起スルコト無シトセス。1932年満州国建国により「皆種族ノ岐視尊卑ノ分別ナシ。原有ノ漢族、満族、蒙古族及日本、朝鮮ノ各族ヲ除クノ外、即チ其他ノ国人ニシテ長久ニ居留ヲ願フ者モ亦平等ノ待遇ヲ享クルコトヲ得」「内鮮一体の根本趣旨」を在満朝鮮人にも適用」民族協和ノ指導精神ヲ尊重シテ、之ニ全幅ノ協力ヲナスコト、日本ノ国籍ヲ有スル在満鮮人ハ皇国臣民タル本質ヲ基礎トシテ善良ナル満州国人民タル教養ヲナスモノトス」

 


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