李王朝時代最高の画家の25点(金弘道13点、申潤福12点)の春画を紹介し、日本の浮世絵と比較した。韓国の春画は自然の景勝地、山水、満月、妓房、中庭、サラン房、房帳、書物、盆栽などと共に描かれている。日本では版画として大量生産されたたことと比べて李朝では量的に貧弱である。韓国では儒教思想に制約され、催淫用など品のないエロティシズムの低俗な猥褻淫乱物とは峻別され、自然との陰陽調和、妓房を中心として発達した写実的な描写として価値が高い風俗画であると評価されている。美女の顔面は円く、口は小さい。細い目の下の線を省略、束髪、細長の眉、細い目、乳房と尻部が描かれている。
女性(妓生)は完全ヌードはほぼない。髪型、煙草のキセルなどをもって品を保つが、男は全身ヌードになる。女性の自然体の体は分からない。両班や僧はヌードになったり、覗きをしたりする。妓生は品を守っている感じである。民間では妓生は芸者であり、性を売るものではないというが妓生は美女、性を提供する存在であることが明らかになる。田中雅一氏の論文を思い出す。吉と不吉という観念と結びついて女性のライフコースを体現しているインドの事例、家父長的権威を脅かす、不吉やふしだらとして否定される。春画の中でも完全自由ではなかった韓国の儒教社会を見る思いである。
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春画
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