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Channel: 崔吉城との対話
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名前を憶え

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新学期の初め頃には学生の名前を憶えるよう気にかける。カーネギー処世術の一つは人の名前を憶えることと書いてある。私には出世欲は強くないと思うのでそれはさておき、講義などでは名前を覚えるのはよいと思っている。大型教室ではない、20余名のクラスでは憶えるのはそれほど難しくない。特徴がある人を早く覚えるが、中には似ており、区別し難い人もいる。優秀な二人の学生は4年生になっても時々混同することがある。大変失礼だと思ってもなおらない。下関に長く住み、知り合いも多くなっている。若い人から挨拶されることもある。卒業生であろうかと、たどり着く記憶術を動員する。時には思い出せない。認知症も心配になることがある。名前だけではなく、普通よく覚えている漢字なども忘れている。加齢によるものであろうか、コンピューターに慣れて手で書くことが少ないからであろうか。戸惑っている。紙の本を読む時間も減っている。
 授業などでは指名することがあるが、注意すべきである。名前で呼ばれることは親しさを表すことではあるが、公式である場合の「呼名」には緊張する。講義の初めに「呼名」、討論などでは「指名」をすることがある。名前を憶え、使いこなせることは授業のレベルであり、人間関係の基礎でもあるといえる。名前は名称と呼称がある。名前を憶え、どう呼ぶかを考えながら教壇に立つ。それについては以前詳しく書いたことがある。崔吉城「韓国人の名前に関する人類学的研究」『名前と社会』早稲田大学出版部

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