「アジア共同体」の公開講座の開始が近づいている。ただ個別の講義を並べるわけではない。提供者側と受講者側の総合理解が必要である。アジアと共同体は何を意味するのか考える、その全体の構想を貫いていくように考えなければならない。アジアは世界の中の一部であり、「アジア化」を意味するのではない。つまり国際化やグローバル化の「か」に対置する分裂的な地域中心の団結などを意味するのではない。半世紀ほど国際化とグローバル化を叫んできた。その結果民族主義やナショナリズムが強化されている。国際化という言葉が平和主義を指すようであればナショナリズムは競争、喧嘩、不和を指すような現象が多く起きている。
共同体の概念も曖昧である。内向けの団結、和気あいあいを強調するように感ずる。しかし東アジア共同体論の多くは生産ネットワークなど連携協力を強調している。「アジア共同体」といえば戦前の「大東亜共栄圏」を思い出すかもしれない。そして日本からの発信ではなく、中国からの発信が望ましいという主張もある。それには民主主義欠如社会主義国家からの発信はどうだろうという批判もある。今日中韓の関係は良くない。古代文明発祥地、漢字・儒教文化圏へ戻るのではなく、それらも基礎要因として検討すべきであろう。政治的には鎖国であっても技術と文化は開放され越境している。国境が障碍か絆か講座を通して一緒に考えたい。
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「アジア共同体」
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