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Channel: 崔吉城との対話
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知識人の輩出地

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 秋雨の午後公開講義は中国浙江工商大学の金俊博士が担当した。彼とは中国延辺大学の教員の時出会い、広島大学で博士号取得した方である。広島大学時代の中国からの留学生の中には彼以外にも5人の留学生が北朝鮮と旧満州の国境の和龍市出身であった。朝鮮族の中では最も多く知識人を輩出したという。私はそこを訪問してみたい。なぜであろう。風水信仰的にも面白い(笑)。彼に聞いた。ただ貧困村に過ぎないと言い捨てる。だからこそ勉強するようになったのではないか。それに同調する意見は多い。私は頷かなかった。貧困村は多い。知識への刺激、あるいは文化的影響を考えた。金氏は日本時代に鉄道が敷かれたという。それもそこだけのことではない。日本時代の教育都市であったという。中学でも日本語を学んだという。確かに彼の日本語は私より上手い。そのような地域も多い。なぜそこか。
 世界は広く繋がっているが人工意識的に境界を作ってきたという。その境界には他者意識、イデオロギーによって壁が作られていくと説明された。それについて地理学者の川村博忠先生は境界が支配者の統治権の領域の表示であろうと主張した。さらにヨーロッパからアジアは劣って小さいというアジア観、マテオ・リッチは「小国」といったと紹介されたことに疑問を提起した。私は中国の大国主義より小国論を真剣に考えるべきではないかと中江兆民の小国論の一読を薦めた。日本中心のアジア観については名古屋在住の思想史学者の姜海守氏の岡倉天心のアジア観が紹介された。私は福沢諭吉の脱亜、そして植民地との関連に触れた。金氏は最後に一言、多様な民族たちへの愛、そして私の和解のことばで締めくぐった。
 


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