山口新聞コラムの2か月のエッセイが今朝2016.12.26の今回の寄稿が最後となる。月曜日の休刊日が二回もあり連載回数が少なく、とても残念と思っている。もっと読者との機会を持ちたかった。今朝の掲載文は次のようである。
私が何を研究しているか知らない人は多い。特に下関では私の研究を披露する機会を全く得ていない。その一つを言っておきたい。私は巫俗信仰研究者として北川皆雄監督の映画『冥界婚』製作の協力者であり、去年東京のポレポレ東中野でそれを上映後、初対面の陰陽師作家の夢枕獏氏とトークショーを行った。また来年2017年3月24-26日には長野県松本市で「死者と生者の通い路」をテーマに映画「冥界婚」について在日作家の柳美里氏とトークショーを予定している。いつか下関でもそんな機会を願っている。
冥界婚とは死後結婚のことである。中国、韓国、日本、アフリカなどにもある。死後に家族制度の相続のために行われるが、もう一つ重要なのは死者の怨恨を払うために行う。韓国の済州島で行われるものは前者の祖先崇拝的なものであり、東海岸地域では巫俗信仰として死者の怨念を払うために行う。この映画『冥界婚』は船上で死亡した青年の霊を慰安、結婚させ、あの世に送る儀礼をドキュメンタリー的に制作したものである。未婚者である34歳の船員が海上漁業中に事故死、しかし家族は本当の死因は不明であるとして、その死因を明らかにする。さらに、独身で死亡した息子に死後結婚をさせる。それはなぜか。未婚者の死後の怨念とは何か。独身主義者が多い民主自由社会とも言われる今、考えて見るのも良い。
昨夜担当者から「冥界婚の上映が下関や下関の近場で行われるよう願っています(上映に合わせたトークショーも興味津々で是非聞いてみたいです)。また執筆していただけたら幸いです」とメールが着いた。