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Channel: 崔吉城との対話
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植民地研究の視点で

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竹下一記者の記事は最高の名文、ワンアジア講義の担当者と受講生全員に配らせていただく。講義全体の要約、順序、論理、明快な文には脱帽、脱帽である。感謝します。

崔吉城教授が講義:植民地研究の視点で

 下関の東亜大学の公開講座「アジアの民族と国家」が九月二五日から始まった。その第一回目の講義で、崔吉城・同大学教授(文化人類学)が植民地研究を踏まえて問題を提起した。
 崔教授は「日本とアジアの関係を見る場合、戦争と植民地が中心になる」と指摘した。世界史におけるスペインやフランス、イギリスなどが地球的規模で展開してきた植民地の事例と対比して、後発の宗主国となった日本帝国主義と台湾、樺太(サハリン)、朝鮮、パラオ、満洲など、アジアの植民地との関係について明らかにした。
 日本の場合、「戦争、占領、条約などによる植民地化、拓殖会社、近代化、強制動員、人の移動・移住」など、西洋の植民地支配を真似たものが多く、日本に近接する地域を植民地化してきた。植民者は「にわか成金」のような特権的態度をとるものが多く、一般労働者と変わらない植民者でも、被植民者に比べ法律的経済的などの面で優遇されいたことにも触れた。
 崔教授はまた、日本が「大東亜共栄圏」を求めたが失敗したとと関連して、満洲の開拓民が「夢を持たされた」あげく悲惨な目にあったことや、ミャンマーにおけるインパール作戦など兵隊に動員された民衆の凄絶な経験を上げた。さらに、日本の植民地から解放された韓国の反日感情の強さについて、「イギリスとそれにもっとも近接した植民地であったアイルランドとの関係に酷似している」と指摘した。
 崔教授はそこから、アジア共同体について「日本のアジア侵略と植民地統治による負の遺産、国境(領土)問題、米軍駐屯など軍事的な対立があり、共同体構築が難しい状況がある」と語った。そこから、EU共同体が経済的な協力が中心であるのに比べて、東アジアの共同体は「平和と安全」を求めることが中心になると強調した。
 崔教授は北朝鮮をめぐる軍事的緊張と関連して、「私自身、朝鮮戦争を直接体験したので不安だが、韓国の友人たちは心配するなと言っている」と紹介した。そして最後に、戦争と植民地の関係修復は国と国との政治的駆け引きではなく人間関係、つまり人民間のつながりを強めることによって可能であると提起した。*写真長周新聞2017.10.2


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